コロナウイルスによる他県ナンバー自動車への嫌がらせ行為が全国で相次いでおり問題となっています。
 この問題が大きくまず取り上げられたのは徳島県。感染者が県全体で5名と少ない徳島県ですが、他県ナンバー車に傷をつける行為や他県ナンバー車のドライバーに暴言を吐くなどの行為があったとしてニュースに取り上げられました。
 感染者が少ない徳島県ですらこのようなことが起こる始末。ほかの都道府県でも同じようなことが起こるのは必至と言えるでしょう。
 
 

 そのような状況の中で長野県松本市の看板製作会社の株式会社アートプランニングさんがこの問題に一役買うべく他府県ナンバーステッカーを作成し販売を始めと事が大きくニュースで取り上げられ話題となっています。
 「私は〇〇県在住です。」とかわいいワンちゃんが話しているなんともかわいいステッカー。
 1枚800円で送料は買主負担で販売が開始されかなりの問い合わせがきているようです。
 
 しかしあくまで私個人の意見ですがこのステッカーにより助かる人も出る反面逆に狙われる人も出てしまい、最悪な場合この会社も悪質なクレーマーに狙われてしまうのではないかと心配しています。
 今日はこのステッカーについての効果や法的な問題点などを盛り込みながら私の懸念点を書いていきたいと思います。

目立つ車は狙われやすい。

 元車検場職員としての経験を踏まえながらお話をしていきたいと思うのですが、目立つ車というのはとにかく狙われやすいという傾向があります。
 例えば自動車のナンバーには希望番号制が認められています。そして1や7といった人気のある番号は抽選制となっており必ずしも申し込みをすれば手に入るナンバーというわけではありません。
 抽選を勝ち抜いてこのような抽選制のナンバーを入手したときはドライバーにとってきっと至福の時なのでしょう。
 しかし大変残念なことにこのような抽選番号のついた自動車というのは悪質ないたずらや最悪の場合ナンバーそのものを盗まれてしまうというケースが後を絶ちません。
 車検場職員だった時このようにナンバーを盗まれてしまったという申請人の方々を沢山対応してきましたが、ほとんどがこの抽選番号の自動車でした。
 ちなみに自動車には全面と後面のナンバーが2枚取り付けられているのですが、両方盗難などの理由でなくなってしまった場合はもちろん片方だけ無くなったしまったという場合でも同じナンバーを再発行というわけにはいかずナンバーそのものを取り換えなければいけないのです。

 ちなみに自動車のナンバーは希望番号でなければ大体1500円くらいのところ希望番号の場合は約4000円と倍以上お金がかかります。
 通常より倍以上のお金を支払ってもかなりの高確率でそのお金が無駄になってしまうのです。

ステッカーを貼ることで逆に悪質な人間に狙われるリスク大?

 
 話を他府県ナンバーステッカーに戻しましょう。上述のように目立つ車というのは狙われます。
 また今は他府県ナンバーのドライバーが実際に他府県からの来訪者であるか否かは関係なく他府県ナンバー車=来訪者と決めてかかっている輩が圧倒的に多いため嫌がらせ行為が続出しているものと思われます。
 他府県ナンバーだけでも目立つうえ他府県ステッカーというより目立つものを車に貼ることでより目立ってしまい標的に会いやすくなるのではないかと経験上心配なのです。
 また実際の現地住民だけでなく来訪者が来訪先でトラブル防止のためにこのステッカーを購入するというケースも当然あるでしょう。
 このステッカーを見ても「オレは騙されないぞ!この来訪者め!」と嫌がらせをしてくる人間も多いのではないかと思います。
 私としてはより目立ってしまうだけで嫌がらせ被害にあうリスクが高まるだけなのではないかとつい思ってしまいます。

このステッカーは法律面でも問題が?

 そして私がこのステッカーで心配に思うことがもう1つあります。

 本来自動車の持ち主に住所変更があった場合、変更があってから15日以内にその手続きを行いナンバーを住んでいる地域を管轄する車検場のナンバーに変更しなければならないことになっています。(道路運送車両法第12条第1項)

 実際のところ「こんなの気にしなくていいや」とこの条文を気にしない方が多いのですが実は罰則規定も設けられており警察がその気になれば50万円以下の罰金が科されることになります。

 さて前置きが長くなりましたが、このステッカー。法律を知っている人間からすると違法な状態を助長する要因になりかねないんですよね。
 「法的にはそもそも15日以内にナンバーを変えなくてはいけないのだからいい機会と思って車検場に行って手続きをするべき」ということになるのですが、このステッカーは今の他府県ナンバーがついたままの状態でのトラブル防止を狙うアイテムなわけで元職員からすると「おいおい・・ちょっと待てよ」とどうしても思ってしまうんですよね。

 もっとも私自身はこのステッカーを開発販売した会社さんに何かクレームを言う気などさらさらないのですが、今は非常に嫌な時代です。
 無駄にこういった知識を持った悪質なクレーマーが難癖をつけるということも十分考えられるそんな世の中です。
 このステッカーを開発したデザイナーの個人名もネットには出ていましたが会社さんはもちろんこのデザイナーさん個人も大きな問題ごとに巻き込まれないことを祈るのみです。

 以上、コロナによる他県ナンバー車への嫌がらせ防止ステッカー販売開始というニュースを見て私なりに思う効果や問題点などをまとめてみました。
 最後になりますが私が思うベストな嫌がらせ回避方法は世紀に手続きをしたうえで希望番号ではない車検場が順番に発行している一連番号を取り付けることです。
 法的にも正しくナンバーも目立たない。費用も住所変更手続きが350円にナンバー代が1500円ほど。
 800円のステッカー代に送料を入れたらそれほどお金も変わらないのではないでしょうか?