国家公務員というと「誰でもできる仕事しかしていない無能な奴らの集まり」というイメージを持っている方が多くいらっしゃる印象を受けます。

 これらの公務員=無能というネガティブなイメージは2000年代初頭の俗にいう就職氷河期時代に多くの高学歴な学生が公務員となったにもかからわずいまだに払しょくされていません。

 実際国家公務員は無能な職員が非常に多いです。
 そして年を追うごとに無能な職員の数は増加傾向にあります。

 何故か?

 その理由を元国家公務員公務員の視点からまとめてみたいと思います。




➀国家公務員は無能な職員の集まり?実際はどうなの?

 まず先に断っておきたいことがあります。
 国家公務員は無能な職員が多く、その数も毎年増えています。

 しかし本当の意味で無能な職員はごくごく一部です。
 一応そこそこの学力を要する筆記試験を突破しているためある程度の能力はもっています。

 そのなかで「何故この人が試験に合格したんだろう?」と思わざるをえない職員は実際いますがほんの一握りです。私の経験上全体の2~3%くらいといった感じです。

 また大卒=優秀とも限りません。
 私が仕事をした職員で地方の国立大卒の職員がいましたがとにかく物覚えが悪く非常に苦労しました。
 その反面高卒でも優秀な職員はいます。

 しかし本当に無能と呼ぶべき職員はほんのわずかであるにもかかわらず実際無能な国家公務員は増え続けているのです。

 その理由は無能な職員に対して何らペナルティを科さない制度・そして組織にあります。

➁国家公務員は無能な職員にとってパラダイス・・・昇進制度

 国家公務員は完全な年功序列の世界です。
 警察や県庁などの地方公務員は昇進にあたり昇進試験が課されある一定以上の能力がないと上のポストにつけない仕組みになっています。
 しかし国家公務員の昇進するうえでの基準は勤続年数のみです。

 実際の能力は一切問われません。
 
 このように無能な職員でも安易に出世できるからくりになっているのです。

⓷国家公務員は無能な職員にとってパラダイス・・・昇給制度

 また年に1回行われる昇給もよほどの不祥事を起こさない限り他の職員と大差なく昇給します。

 私は国家公務員の出先機関職員として勤務していたのですが、出先機関の場合通常であれば給与の単位である号俸が4号俸昇給します。
 そして人事部門が成績優秀者であると認定した職員については6号俸昇給します。

 つまりどんなに使えなくて無能な職員でも不祥事を犯さない限り通常評価を受け必ず4号俸は毎年昇給。
 そしてその無能な職員の分の仕事をカバーすべく馬車馬のように働いて成績優秀者という評価を受けたとしてもたった2号俸しか違いはないのです。

⓸国家公務員は無能な職員にとってパラダイス・・・終身雇用制度

 公務員というと「クビにならない」というイメージを多くの方がお持ちですよね。
 実際能力が低く仕事ができないという理由だけでクビになることは絶対にありません。

 たとえ仕事でありえないミスをしたとして組織内外に迷惑をかけたとしても口頭注意くらいです。

 ちなみに職務遂行に支障のある公務員に対して課される分限免職という処分がありますがこれは仕事ができないことに加え何かプラスαの要因がない限り課されません。

 私の経験上この分限免職となった職員を1人知っていますが➀仕事ができない➁長期間の休職⓷職場での暴行事件などの問題行動といった要因が積み重なりようやく分限免職となったのでした。

⓹無能な職員は感染していく・・・

 このように国家公務員は無能な職員でも必ず毎年普通に昇給し、一定年数の勤務経験があれば安易に昇進し、どれだけ仕事ができなくても絶対にクビになりません。

 まして最近はハラスメント遵守の風潮というおまけつきです。

 無能な職員を下手に注意しようものならパワハラだとして逆ギレ。
 しかもやっかいなことに悪いのは注意をしたほうという扱いを受けます。

 するとどういうことになるかというと・・・みんなやる気をなくしちゃうんですよね(笑)

 上述の通り一生懸命仕事をしても号俸は2号俸の違い・・・
 バカバカしくなり仕事をしない無能な職員へと闇落ち。
 一生懸命働くのをセーブする結果作業能率が悪くなっていくという負のスパイラルが誕生するわけなのです。

国家公務員は何故無能な職員が多いのか?

以上「国家公務員は何故無能な職員が多いのか?」について元職員の視点からまとめました。
 最近国家公務員の冬のボーナスが勤勉手当わずか0.05月分の減額というニュースが大きく報じられましたが多くの企業が冬のボーナス支給を見送る中において有能・無能関係なく一律に0.05月分の減額というあまりにおかしいですよね。

 しかし国家公務員はそのおかしなことが平然と行われ、異を唱えようものなら唱えたほうが悪くみられる傾向があります。

 現役公務員の知り合いの話では、今公務員においては押印廃止に向けた取り組みが最優先で行われているようです。
 個人的にはそんなことよりも厳格な成果主義を導入し無能な職員には厳しい烙印を課すと同時に有能な職員にはもっと優遇措置を与えるような制度作りを行うほうが先決だと思うのですが・・・果たしてそのような制度改革が行われる日は来るのでしょうか?