相続をテーマに扱った今注目の漫画「相続探偵」
元弁護士で現在は探偵を営む灰江七生が持ち前の法律知識を駆使して数々の相続トラブルを解決していくという極上ミステリー作品です。

ストーリーもさることながら法律的な知識もしっかりと学ぶことのできる作品でそのクオリティの高さから早くもドラマ化も間違いなしという声まで聞こえています。

そんな相続探偵。
8月23日に待望の第2巻が発売されました。

そんな第2巻に収録された城丸足高・葉月兄弟の争族を描いたエピソード「鎌倉の屋敷と兄弟と」・・・
とあることがきっかけで兄足高が相続欠格に該当してしまい(正確にいうと「相続欠格になる可能性が高い」)妹葉月が晴れて祖父との約束を守る形で鎌倉の実家を相続するハッピーエンドに落ち着きました。

これで鎌倉の実家の所有者の名義は両親の名義から葉月へと不動産登記の所有権移転登記手続きを変更されることになったわけですが・・・

法務局での相続を原因とした所有権移転手続きの際には兄である足高が相続欠格により相続権がない人物であるということを証明しなくてはいけません。
ではこの相続人が相続欠格に該当するということを証明するためにはどのような書類が必要なのでしょうか?

今日は「相続探偵2巻 鎌倉の屋敷と兄弟と ネタバレ感想考察 相続欠格を証明する方法は何?」としてまとめていきたいと思います。

※相続欠格についてはコチラ!

相続探偵 相続欠格を証明する必要書類は何?

以前別記事にもまとめたのですが相続人が相続権を失ってしまう制度として今回のテーマ➀相続欠格➁相続排除⓷相続放棄の3つの制度があります。

相続排除は被相続人が生前に「長男だけには何も財産を残したくない!」というように相続権を剥奪したい相続人から相続権を奪う制度です。(その相続権を剥奪したい相続人に虐待を行っていたなどの一定の非行事実があることが要件として必要です。
そしてこの手続き行った場合は家庭裁判所での手続きを行ったうえで戸籍に記録されます。

また相続放棄についても家庭裁判所での手続きが必要となり、手続きが終了すると相続放棄をした人物であるという証明書(相続放棄申述受理証明書)の発行を家庭裁判所から受けることができます。

このように相続排除の場合は被相続人の戸籍謄本が、相続放棄の場合は家庭裁判所の証明書がそれぞれ証明書となるわけですが・・・

果たして今回のテーマ相続欠格についてはどのような証明書が役所での手続きに必要なのでしょうか?

➀相続探偵 相続欠格を証明する必要書類は欠格者自身の自認書!!

では今回のテーマである相続欠格・・・兄足高が相続欠格者であることを証するための必要な書類は一体何なのでしょうか?

相続欠格は相続人に一定の非行があった場合に強制的に相続権を剥奪するという制度・・・
すなわち相続排除や相続放棄のように家庭裁判所での手続きを要するといったたぐいのものではありません。

したがって家庭裁判所からの証明書は発行されません(・・・というか家裁も発行したくても発行できません(笑))
また相続排除のように相続欠格となった者の戸籍に相続欠格者である旨記録されるということもありません。

このてん不動産登記では登記先例という法務局の通達に基づいて相続欠格者本人の実印押印した自認書(すなわち「自身が相続欠格者である」ことの自認書。)及び押印してある印が実印であることを確認するための印鑑証明書の添付を求めています。

・・・さてこのように相続欠格を証明する必要書類は相続欠格者自身の実印押印のある自認書及び印鑑証明書ということになるわけですが・・・

足高は非常に極悪人です(笑)
果たしてすんなり自認所の作成に応じるのだろうかという疑問がありますよね。

しかし足高が自認書作成に応じない場合は書類不備として法務局での葉月への所有権移転手続きは却下されてしまいます。

このような場合どのような方法があるのでしょうか?

➁相続探偵 相続欠格者が自認書作成に応じない場合の方法は?

相続欠格者が自認書作成に応じない場合・・・この場合方法があることはあるのですが非常に面倒です。

相続欠格者相手に訴訟を起こし裁判で「被告は相続欠格者である」ことについての確定判決を得なくてはいけません。

ただでさえ裁判はお金がかかります。
そのうえせっかく第1審で「相続欠格者である」旨の判決を勝ち取ったとしても相手方が判決を不服として徹底的に争う姿勢を見せようものなら判決は確定していないことになり時間もそれだけかかってしまうことになります。

⓷相続探偵 相続欠格者が収監中の場合は?

さて今回の「鎌倉の屋敷と兄弟と」でもう1つ気になったことがあります。
それはもし足高が実際に刑に処せられることになり刑務所に収監された場合です。

実は収監されてしまうとその人物の印鑑証明書の取得が収監中はできなくなります。(この根拠法を探してみたのですが見つけることができませんでした。印鑑証明曽に関する条例のなかに印鑑登録者について印鑑登録を抹消すべき場合が生じた場合は市長や区長は登録を抹消できるとなっていることから「収監=印鑑登録を抹消すべき事由」ということに実務上なっていることに起因するものだお思いますが・・・もしご存じの方がいたらコメントで教えてください。

このように相続欠格者の証明のために必要な印鑑証明書がどうやってもとれないという場合どのような方法があるのでしょうか?

この場合刑務所長が自認書に奥書する・・・すなわち自認書の余白欄に「これは間違いなく受刑者の城丸足高が作成した自認書だ」という旨を証明するという方法があります。

今回のケースでは殺人未遂により収監される可能性も大いに考えられる足高・・・
おそらくですが葉月への相続を原因とした名義変更手続きはこの足高の自認書に刑務所長が奥書したものが使用される可能性が極めて高いのではないかと思われます。

そんなわけで今回は「相続探偵2巻 鎌倉の屋敷と兄弟と ネタバレ感想考察 相続欠格を証明する方法は何?」についてまとめました。