本ブログで度々取り上げている漫画相続探偵。
その最新刊となるコミックス第4巻が3月23日に発売となりました。
|
さてこれまで全巻を買いそろえている私なのですがこれまでの相続探偵のエピソードを見ていて1つ気になったことがでてきました。
今日は「遺贈させる遺言で相続人以外に財産を遺贈する際は相続人以外から遺言執行者の選任が必要か?」としてその気になったことをまとめていきたいと思います。
目次
➀漫画相続探偵 これまでに登場してきた幾多の遺言書について
漫画相続探偵のこれまでのエピソードの中には幾多の遺言書が登場しました。
冒頭の最新刊4巻に収録された2つのエピソードもともに遺言書が絡んだエピソードなわけですが・・・その遺言書の内容を見て1つ気になったことがありました。
それはこれまで1巻から4巻までに登場した遺言書で遺言執行者が選任された遺言書が全く登場していないということです。
➁遺贈を原因とした不動産や自動車の名義変更手続きについて
遺言書によって「〇〇にマンションを遺贈させる」(このような遺言を「遺贈させる遺言」といいます。)というように財産を特定の誰かに譲ることを遺贈(いぞう)といいます。
そして遺言書には遺言執行者を遺言者が指定して選任することができるのですがこの遺言執行者を選任するかしないかで不動産や自動車の遺贈を原因とした名義変更手続きが大きく変わることになります。
以下遺言執行者が選任されている場合といない場合についてその手続きの違いをお話していきます。
⓷遺言執行者が選任されている場合の遺贈手続きについて
まずは遺言執行者が選任されている場合のお話です。
不動産や自動車の遺贈を原因とした名義変更手続きは義務者と権利者という遺贈によって所有権を失う側ともらい受ける側の相反する両者によって申請手続きをしなくてはいけないルールがあります。
さてこの義務者と権利者のうち遺贈によって財産をもらう側が権利者となるのは言うまでもありません。
問題なのは義務者の方です。
遺言執行者が選任されている場合は遺言執行者が義務者として申請手続きを行う必要があります。
では遺言執行者が指定されていない場合は誰が遺言執行者になるのでしょうか?
⓸遺言執行者が選任されていない場合の遺贈手続きについて
遺言執行者が遺言書の中で指定されておらず誰も選任されていない場合の義務者は誰になるのか?
その答えは遺言者の相続人全員です。
ポイントは遺言者の相続人の全員というところです
仮に遺言者の相続人が複数だった場合1名でも必要書類が欠けている場合は役所での不動産や自動車の名義変更手続きは却下されてしまい手続きができなくなってしまうのです。
⓹相続人以外に財産を遺贈させる遺言は絶対に相続人以外から遺言執行者を選任すべし!
さて私も国家公務員時代幾多の遺贈させる遺言をみてきましたが・・・基本的にこの遺贈させる遺言は遺言者の相続人ではない人物に財産を遺贈させる場合に多く見受けられます。
そして上述のことを踏まえて遺言者が相続人以外の人物に金銭価値の高い不動産や自動車を遺贈させるという遺言書を遺言執行者の選任をせずに残していたことを考えてみてください。
遺言執行者が選任されていないということは遺言者の相続人が義務者として不動産や自動車の名義変更手続きに協力し必要書類を揃えなくてはいけません。
・・・しかしこの場合「相続人でもない人物に財産を渡すのに何故自分たちが名義変更手続きに協力しなければ?」という負の感情から手続きに非協力的となる相続人は非常に多いです。
このため絶対に相続人以外に財産を残すことを考えている方は絶対に遺言書を作成する段階で相続人以外から遺言執行者を選任しておいた方が間違いないのです。
(ちなみに遺言執行者は財産を残したい相続人以外の人物が兼ねることも問題はありません!)
⓺「遺贈させる遺言で相続人以外に財産を遺贈する際は相続人以外から遺言執行者の選任が必要か?」まとめ
以上「遺贈させる遺言で相続人以外に財産を遺贈する際は相続人以外から遺言執行者の選任が必要か?」についてまとめました。
ちなみに遺言書の中で遺言執行者が選任されていない場合でも事後的に家庭裁判所で手続きを行えば選任をすること自体は可能です。
こういったアフターケアが可能ということもあって相続探偵ではまだ遺言執行者に言及したものが登場していない可能性はあるのですが・・・いつかこの遺言執行者は選任されている場合といない場合の違いに言及したお話を見てみたい今日この頃です。