公務員による送金ミスが最悪のケースを招いたといっても過言ではない山口県阿武町の4630万円返還拒否問題。
母親の説得も聞かず返還を断固拒否しているとされるこの男性。
そして今日のニュースで振り込まれたお金についてはネットカジノで使用したと主張していることも判明しました。
さて民法を勉強したことのある方であればこのネットカジノでの使い込み発言から今回の返還拒否男性が中々の法律知識を持っている曲者であることに気付いたと思います。
以下「山口県阿武町4630万円返還拒否男性 ネットカジノ使用発言で民法上の善意の不当利得者を主張」としてまとめていきます。
➀ご送金により手にしたお金は民法上の不当利得に該当する
まずはこの不当利得という用語についてお話しします。
これは民法第703条で「法律上正当な理由がないにも関わらず他人の財産もしくは労務によって利益を受けそれが理由で他人に損失を与えること」として規定されています。
町役場が誤って送金してしまったことが原因で手にしたお金ですので間違いなく不当利得に該当することになると思われます。
ところがこの不当利得に該当するお金ですが・・・
それを返還してもらうとなった際はその不当利得を得た人の善意と悪意が非常に重要な争点となるのです。
➁不当利得によってお金を得た人が善意と悪意で変換できるお金が決定的に違ってくる!
善意の不当利得者とは自分が手にしたお金が不当利得に該当するお金であることをを知らなかった場合を指します。
一方の悪意の不当利得者は自分が手にしたお金が不当利得であることを把握していた場合を指します。
そしてこの不当利得によってお金を手にした人にそのお金を請求する際は不当利得者が善意であるか悪意であるかによって請求できる額が大幅に変わってきます。
悪意の場合・・・すなわち確信犯の場合は簡単です。
その手にした額はもちろんのこと利息まで返還請求できます。
ところがです。
善意の場合は「その利益の存する限りにおいて」返還義務を負うとされています。
この「利益の存する限り」という微妙な言い回し・・・ここが今回の大きなポイントです。
⓷不当利得 善意の場合の利益が存する場合の返還請求
まず不当利得によって手にしたお金が現金として残っていればこのお金は「利益の存する限り」・・・すなわち「お金が残っている限り」そっくりそのまま返還義務を追います。
問題なのは今回の返還拒否男性のようにお金を使ってしまった場合です。
このてん非常にに興味深い判例があります。
まず生活費としてお金を使った場合は「そのお金を使ったことにより今の生活ができているのだから利益が残っている」という考えのもと生活費に充てたお金も返還請求の対象に含まれます。
ところが今回のカジノようにギャンブルに使用してしまって全額スッテしまったという場合は「利益が残っている」とはいえずギャンブルに当てた費用は返還請求の対象とはならないのです。
おそらくですが今回の返還拒否男性はここら辺の知識を持っている人物であることが予想されます。
⓸「山口県阿武町4630万円返還拒否男性 ネットカジノ使用発言で民法上の善意の不当利得者を主張」まとめ
以上「山口県阿武町4630万円返還拒否男性 ネットカジノ使用発言で民法上の善意の不当利得者を主張」について簡単ですがまとめました。
私は法の専門家ではないのですが善意や悪意かはこの返還拒否男性のみぞ知る出来事。
他人が立証するとなると本当に大変だろうと思います。
悪意であれば全額返還はおろか利息もつけて返還請求できる一発逆転となるわけですが・・・
果たして町が提訴した裁判の行方はいかに?
別記事でまとめたゆっくり茶番劇に関するトラブルともども今後大注目と言えますね!