6月22日のニュースの話になりますが、内閣府、法務省、経済産業省はこのほど、民間企業などが取り交わす契約について、「テレワークを推進するため、不要な押印は省略して別の手段で代替するのが有意義」との見方を示したうえで「契約書への押印は特別の決まりがない限り不要」とする見解を発表した旨が大きく取り上げられていました。
これをうけこのハンコ押印不要の動きは民間においては今後加速するとみられます。
しかし行政においてはどうでしょうか?
今日は元公務員としてハンコ押印不要の動きは行政にも浸透するのか考察していきたいと思います。
民間ではすでにハンコ押印不要の動きが加速
6月22日で大きくハンコ押印不要の流れを加速させるニュースが報じられましたが、すでにこの報道前から民間ではこのハンコ押印不要の流れをビジネスのビッグチャンス到来ととらえ好業績を上げている会社がいくつかあるようです。
私は株式投資を行っているのですが、1月前ほど証券会社の私の担当営業マンからおすすめ株式銘柄の営業電話があったのですが、このハンコ押印不要で急成長を遂げている会社として弁護士ドットコムさん他いくつかの銘柄を紹介されました。
担当マン曰く「このハンコ押印不要」は今トップクラスに熱い狙い目テーマであるとのことでした。
ハンコ押印不要の動き。行政には浸透するか?
さてこのハンコ押印という日本独特の文化とでもいうべき慣習。
日常生活で使用するといえば契約を行うときと行政手続きを行うときが2本柱なのではないでしょうか?
上述の通り民間相互間で行われる契約には徐々にハンコ押印不要の流れが加速し浸透しつつあります。
しかしもう1つの行政手続きにおいてはこの流れは浸透していくのでしょうか?
私が携わっていた自動車の登録手続きと照らし合わせながら考察していきたいと思います。
自動車の登録手続きにおけるハンコ押印
自動車の登録手続きにはさまざまな種類の手続きが存在します。
売買などにより所有者を変更する(所有権の)移転登録。
所有者が結婚などにより氏名に変更が生じた場合や、住所変更により住所が変更した場合の変更登録。
自動車を廃車する場合の抹消登録。
新車や廃車してある車を新たに使用する場合の新規登録。
所有者の氏名や住所に誤りがあった場合の更正登録。
ほかにも抵当権に関する登録申請や滅多に来ることのない登録の抹消の回復と言った申請手続きなどなどが存在します。
そしてこれらの登録申請手続きには車検証に所有者として登録をうける人や法人、もしくは登録されている人や法人のハンコ押印が必要と言う扱いになっており申請書に直接押印するか代理人により申請の場合はハンコ押印の委任状が必要という扱いになっています。
なぜ自動車の登録申請手続きにはハンコ押印が必要?
では何故このような自動車の登録申請手続きにはハンコの押印が必要なのか?
それはバッチリ法律に規定されているからなんです。
自動車登録令第十五条 申請書には、国土交通省令で定める事項を記載し、申請人がこれに署名押印しなければならない。
すなわち法律にバッチリハンコ押印が必要である旨規定されている以上いくらハンコ押印不要の動きが加速している時代背景があるといえでも行政手続きにハンコ押印不要という扱いはできないということになります。
そして自動車の登録手続きにハンコ押印不要とする唯一の方法は法改正をしてこの15条の文言から「押印」の2文字を削除しなくてはいけないということになるわけです。
はたしてにハンコ押印不要の流れは行政に浸透するか?
このように少なくとも自動車の登録手続きにおいては法律で押印が必要とする根拠条文が存在するためハンコ押印不要とするわけには現状いきません。
おそらく他の行政手続きにしても車検場と同じようなものだと思います。
したがって少なくとも現状においてはこのハンコ押印不要の流れは行政には浸透はしないだろうということになります。
果たして今後法改正でハンコ押印不要という風に法改正が進んでいくのでしょうか?
今後の動向に注目していきたいと思います。