本ブログでたびたびお話ししていますが私は元国家公務員です。
その時の経験をもとに国家公務員組織の内情や私の国家公務員試験体験談なども記事にしているところです。
さて国家公務員といえば大学生を対象とした人気職業ランキングで毎回2位にランクインされる人気職種なわけですが・・・
そんな国家公務員を上回る毎回1位にランクインする職業があります。
それは地方公務員です。
一口に同じ公務員といっても国家公務員と地方公務員では様々な違いが存在します。
そしてこの違いが国家公務員が地方公務員に毎回ランキングで劣る要因であるともいえます。
そこで今日は「国家公務員と地方公務員の違いは仕事内容だけじゃない?」についてまとめてみたいと思います。
➀国家公務員と地方公務員の仕事内容の違い
一般的に国家公務員と地方公務員の違いといえばその業務内容をイメージされる方が多いのではないでしょうか?
国家公務員の仕事内容は主に政策・法令の立案・政策実現のための調整・予算の編成や執行・国民への行政サービス・国会対応・統計調査等を広く国民一般を対象とした業務内容です。
一方で地方公務員は(各地方公共団体により異なりますが)主に地域住民の福祉や教育・衛生・産業振興・まちづくりといった地域住民を対象とした業務を行います。
このように国家公務員は広く国民一般を対象とする業務内容のため定期的に行われる人事異動は日本全国各地で行われます。
対して地方公務員はその地域住民を対象とした業務を行う関係上人事異動は自治体内での異動に限られます。
この地方公務員の中でも県庁職員であれば県単位での業務のため引っ越しを伴うことはありますが、市役所職員などはまず引っ越しを伴うような人事異動が行われることはありません。
ちなみに元国家公務員の私の場合は関東内での異動に限られたものの水戸→横浜→埼玉→横浜と約20年の国家公務員生活の中で3回の引っ越しを経験しました。
➁国家公務員と地方公務員の試験の違い
そしておそらく一般の方が国家公務員と地方公務員の違いとしてイメージされるものとして公務員試験の違いがあげられるのではないかと思います。
キャリア官僚という言葉(最近も経済産業省の若手キャリア官僚がコロナ助成金を不正受給していたことで逮捕されましたが・・・)よく耳にしますよね。
国家公務員の場合は大きくキャリア官僚用の総合職試験とその他大勢を対象とした一般職試験に大別されます。
一方の地方公務員の場合は上級・中級・初級試験の3つに大別されます。
さてこれだけみて国家公務員の総合職試験と地方公務員の上級試験は難易度的に同じくらいなのかな?
と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしそれは大甘です(笑)
地方公務員上級試験は国家公務員一般職試験の大卒程度対象試験とほぼほぼ同じレベルです。
総合職試験は本当に超難問ぞろいです。
これまたよく耳にすることだと思いますが国家公務員の場合上のポストを独占するのはキャリア官僚です。
どんなに能力のある人材でも一般職である以上狙えるポストに限界があります。
しかし地方公務員の場合はキャリア官僚のような選りすぐりのエリートでなくてもある程度の学力があれば上級試験に合格できるためいくらでも上のポストを狙えるのです。
こういった点も地方が国家を上回る要因の1つかもしれません。
⓷国家公務員と地方公務員の昇進の違い
ではここからは公務員経験者ならではの国家公務員と地方公務員の違いについてまとめていきます。
まず1つ昇進の違いがあげられます。
国家公務員の場合職員の昇進の際にその人物が昇進にあたってそれなりの能力を有しているか否かを判別する試験のようなものは課されません。(少なくとも私のところはそうでした)
昇進に充たって基準となる判断材料・・・それはズバリ勤続年数のみです。
一方の地方公務員の場合は昇進にあたって昇進試験が課されそれに合格しなければ上には昇進できません。(係長試験や主任試験・課長試験などをパスする必要があります。)
さてこれだけみると「試験がないなら国家公務員のほうが楽そうじゃん」って思う方もいますよね?
確かに一見国家公務員のほうが面倒な試験がない分容易に昇進できるのですが・・・
勤続年数さえ要件を満たせば昇進できるということは「どんなに無能な職員でも容易に昇進する」ということを意味します。
そして安易に昇進した無能な人材が部下を持つとどうなるか・・・
部下が大変ですよね(笑)
この点昇進にあたりある程度の能力を有していることを最低限確認する試験制度を導入している地方公務員のほうが「変な人材にポストを容易に与えない!」という点でしっかりしているといえるでしょう。
⓸国家公務員と地方公務員の昇福利厚生の違い
そして公務員経験者ならではの国家公務員と地方公務員の違い・・・それは福利厚生面での違いです。
まずは夏季休暇(夏休み)なのですが・・・
国家公務員は7~9月の間に3日間付与されます。
一方の地方公務員の場合は5日間も付与されるのです(自治体によっては6日のところもあるようです。)
ちなみに国家公務員の場合は付与される3日間を「連続して」取得しなくてはならず例えば7.8.9月に1日ずつというかたちで行使することができない一方地方公務員の場合はそのような縛りもありません。
また共済貯金についても大きな違いがあります。
共済貯金というのは簡単にいうと公務員を対象とした積立貯金のようなものなのですが・・・
なぜか国家公務員よりも地方公務員のほうが預金利率が高いのです。(羨ましい・・・)
国家公務員と地方公務員の違いは仕事内容だけじゃない?
以上「国家公務員と地方公務員の違いは仕事内容だけじゃない?」についてまとめました。
改めてみてみると国家公務員よりも地方公務員のほうが上が狙いやすく引っ越しもあまりなく福利厚生もしっかりしているということがいえますね。
毎回国家が地方に勝てない理由がよ~くわかった気がします。(笑)