本ブログで度々お話ししていますが私は国土交通省の出先機関運輸局に勤務していた元国家公務員です。
当時の経験をもとに国家公務員の給与や賞与さらにはドロドロとした国家公務員組織の内情についても本ブログでは取り扱っているところです。
さてそんななか昨日国家公務員の副業に関して大変興味深いニュースが・・・
神奈川県平塚市の職員が病気休職中にライトノベルを執筆し印税320万円を得ていたとして6カ月停職という懲戒処分が下されたというのです。(当該職員は依願退職)
実はこの国家公務員の文筆業に関する副業については先日2ちゃんねる開設者としておなじみのひろゆきさんがご自身のユーチューブチャンネルで視聴者からの「公務員にオススメの副業は何か?」という質問に「文筆業」とお答えになっていたことからてっきり公務員の副業として文筆業は認められているものだと思っていたのですが・・・
そんなさなかでの今回のニュース・・・
ひろゆきさんが誤ったことを言うとも思えませんが・・・
かといって平塚市も誤って懲戒処分を下すとは少し考えられません・・・
気になってしまったので調べてみました!!
意外に多い!公務員の有名小説家たち
さて今回病気休暇中とはいえ現役の公務員が執筆活動でお金を得ていたとして懲戒処分が下されたわけですが・・・
意外なことに公務員でありながら名作を世に出した有名小説家たちは数多く存在します。
例えば昭和の文豪として名高い三島由紀夫さんです。
もともと学生時代にはすでに小説家デビューをしていた三島さんですが・・・
東大法学部を卒業した後の就職先はなんと大蔵官僚!
国家公務員として勤務しながら執筆活動をされていました。
また三島さん以外にも石原慎太郎元都知事(都知事時代にも小説を出されています。)や立松和平さん(元宇都宮市職員)など数多くの公務員小説家が存在します。
公務員の副業 小説家デビューはアウト?
さてこのように公務員という立場ながら小説家として活動した実績のある世に知れ渡った文豪は多数存在します。
・・・であれば「公務員の副業として小説家はOKなのではないか?」という疑問が生じますよね。
しかし今回の平塚市の職員は副業禁止規定に違反したとして懲戒処分を喰らっています。
これは一体どういうことなのでしょうか?
結果をお話しすると公務員の副業として小説家として活動することはOKです。
・・・ただし注意しなくてはいけないことがあるのです!
公務員の小説家活動 原稿料はギリOKだけど印税はアウト!
公務員の含むについて規定した国家公務員法と地方公務員法では公務員の副業(兼業)を制限しています。
具体的には報酬を得て事務や事業に従事するためには所轄庁の長または任命権者の許可を得ることが必要とされています。
(国家公務員法第104条、地方公務員法第38条)。
このように報酬を得たうえでの副業を公務員が行うためには許可が必要でそれなくして行った副業は副業禁止規定違反として冒頭の平塚市職員のように懲戒処分の対象となります。
そしてここでポイントなのが報酬の考え方です。
この報酬は、「名称の如何を問わず、労務、労働の対価、すなわち一定の労働を給付することに対して双務契約に基づき支給あるいは給付されるもの」としてとらえられています。
そして小説家が執筆活動で得られる収入というと原稿料(作品自体に対するもの)と印税(作品を販売したことに対するもの)がイメージされやすいところだと思います。
このうちの原稿料は労働の対価として・・・すなわち出版社から依頼されたものでなく自発的な創作活動の結果誕生した作品ということであればここでいう報酬には該当しません。
したがって原稿料であれば必要な許可なく収入を得ることは可能ということになります。
一方印税のほうは問答無用で報酬扱いとなってしまうようです。
印税は作者と出版社が出版契約という双務契約に基づいて発生するリターン・・・
すなわち自身の著作物を出版社が複製することを認めることに対しての対価として考えられるため副業禁止規定で規定する報酬に該当してしまうのです。
公務員の副業 小説家はアウト? 平塚市職員が文筆業で懲戒処分!
ではここでもう一度平塚市職員のニュースを見てみると・・・やはり「印税320万円を得ていたことが原因」とありますね。
この印税という国家公務員の副業禁止規定で得ることを禁止している報酬を得てしまっていたことが今回の平塚市職員の懲戒処分の原因だったのです。
結果ひろゆきさんも平塚市も両方正しかったという結論に落ち着き私の中で1件落着となりました。
しかしこの平塚市職員・・・本人的には公務員という安定職を失ってガッカリしているのかもしれませんが今回の件を機に本格的に「公務員から小説家へ転生!超売れっ子作家に!」
・・・なんて展開もあり得そうですね。
個人的には応援したいと思います。