本ブログで度々お話していますが私は自動車の車検場で名義変更などを担当する自動車の登録官として勤務していた元国家公務員です。
さて国家公務員と言うと行政改革と言う名のもとに現在様々な業務改革が行われていますよね。
それは私の元職場の車検場でも例外ではありません。
実は今車検証の電子化のプロジェクトが動き出しているのです。
現役の車検場職員から教えてくれる範囲内で情報を入手したのですが運用まで1年半を切っているこの段階であまりにも先行き不透明感が半端ないようです。
しかしそれでも国策と言う名のもとその波に乗らなければいけないのが国家公務員の悲しい宿命。
今日は「車検証の電子化はいつから?制度の内容は?国策と言う名のパワハラ?」としてこの車検証電子化の概要や現役職員の悲哀をまとめてみたいと思います(笑)
➀車検証の電子化の運用開始はいつから開始する?
冒頭でもお話しましたが現在車検証の電子化のプロジェクトが国策として動き出しています。
実はこの車検証電子化・・・そう遠い未来の話ではなく具体的な運用開始日はすでに令和5年1月からと決定しています・・・すなわちあと1年半を切っているのです。
➁令和5年1月から開始する車検証の電子化 制度の概要は?
車検証には自動車のナンバーやシリアルナンバー、所有者の氏名や住所、使用者の使命や住所さらにはその車の長さ・幅・高さ・重量などの諸元データー、車検の有効期間満了日など様々な情報が記載されています。
そしてこれらの情報に変更が生じた場合はその都度車検場で変更の手続きを行わなくてはいけません。
それが車検証が電子化されることで以下のような感じになるようです。
まず現在車検証に記載されている様々な情報を電子化した車検証においても引き続き車検証の記載事項とする券面記載事項と電子化した車検証には記載せずに電子車検証のICチップ内に記録する項目の2つに区分けをします。
そして車検証に記載される券面記載事項について変更があった時は引き続き車検場での変更手続きを必要とするものの電子化した車検証上には記載されずICチップ内に記録されている情報に変更があった場合は車検場での変更手続きは行わなくてよいものとするというのが今回の車検証電子化の制度概要になります。
※ICチップ内に記録されるデーターは電子化された車検証上には記載されなくなりますが専用のアプリをダウンロードすることで閲覧が可能とのことです
⓷車検証の電子化で肝心な所有者の情報が車検証に記載されなくなる
車検証には上述の通り様々な用法が記載されています。
なかでも元自動車登録官としては自動車の登録制度は「国家がこの自動車の所有権は〇〇さんのものである」という所有権の公証のうえに成り立っている制度であり所有者の氏名と住所はまさに登録制度の最重要情報であると思っています。
しかしどうやらこの所有者の氏名や住所は引き続き電子化車検証の記載事項としての券面記載事項からは外れてしまうようでICチップ内に記録される方向で調整されているようです。
さらには使用者についても氏名は引き続き記載されるものの住所は記載事項から外れICチップ内に記録される方向ということです。
どうやら極力車検証の記載内容につき変更があっても車検場に出向いてもらうことを不要とするために変更することが稀であるもののみを抽出し引き続き車検証の記載事項として残すことにしたようです。
⓸車検証の電子化・・・ICチップ内に記録する内容に変更があった場合は?
さてここで元自動車登録官として一番気になったことがあります。
その自動車の所有者の氏名と住所はいまのところ電子化された車検証上には記載されずICチップ内に記録されます。
そしてこの所有者に関して何らかの変更があった場合でも車検場に出向いての手続きを不要とする方向で調整が進んでいます。
では車検場に出向かないのにどうやって電子化車検場のICチップ内のデーターを変更内容を反映させたものに書き換えるのか?
メカ音痴の私でもICチップを取り換えるまたは上書きしなければデーターは変更前の古いデーターのままですよね?
どうやらこれについてはICチップデーターに変更があった場合の記録を国土交通省から外部に委託する方向で調整が進んでいるようです。
今のところ街の法律家と呼ばれる行政書士の方に委託をする方向とのことですが・・・一般の方が行政書士を介せずに全部自分で手続きしたいといった場合はどうなのか?
まだこのへん不透明感が半端ありません(笑)
⓹車検証の電子化は国策と言う名のパワハラ!!
さて以上いまわかる範囲内で車検証電子化についての最新情報をまとめたわけですがハッキリ言ってこの車検証の電子化・・・内部職員のほとんどは制度の混乱をきたすだけと反対派が圧倒的多数のようで「電子化の前に退職してしまおうか・・・」と話す職員もチラホラいるようです。
本ブログではパワハラ関連の記事も書いているところですが威圧的な上司が自分の不本意なことを強制する行為はパワハラとして反撃する術が残されています。
しかし自分にとって不本意なことが国策となった場合はどんなに不本意なことであろうが従わざるを得ないというのが国家公務員の悲しい宿命であるといえます。
こういった意味で今の車検場職員にとって車検証の電子化はまさに国策と言う名を借りた抗いようのない究極のパワハラであるといえるでしょう。
もちろん私も今のところ反対派です。
車検証電子化運用開始前のいいタイミングでやめることができてよかったと改めて思います。
以上「車検証の電子化はいつから?制度の内容は?国策と言う名のパワハラ?」についてまとめました。