今日のヤフーニュースを見ていると連日猛威を振るい終息の気配がないコロナウイルス関連のニュースの中に、新型コロナウイルスへの台湾政府の対応が神対応であるとして賞賛する記事がアップされていました。またこの記事の反響がかなり高かったようでヤフーコメントランキングでもこの記事に関連したコメント数が上位に位置するなど関連の高さがうかがえました。
 しかし私も記事を読み確かに迅速な対応だとは思いましたが、その一方で台湾の対応が神対応だとする記述に対しては少し違和感を感じるところもありましたので以下徒然書いていきたいと思います。




台湾のコロナウイルスにおける対応まとめ➀注意喚起

 中国・武漢市衛生健康委員会が「原因不明の肺炎が27例、うち重症7例が確認された」との発表を行ったのは大晦日の12月31日のこと。この報告を受け日本の厚生労働省に相当する台湾政府の衛生福利部は、即日に最初の注意喚起を実施するとともに武漢からの帰国便に対する検疫官の機内立ち入り検査および空港等での入国時の検疫強化を指示し即実行しました。
 その一方で大みそかで休みだった日本の厚生労働省が最初の注意喚起を行ったのは約1週間後の1月6日のことでした。

台湾のコロナウイルスにおける対応まとめ➁専門家会議の迅速な開催及び決議事項の実践

 1月2日には早速専門家等による「台湾衛生福利部 伝染病予防治療諮問会」の「旧正月春節インフルエンザ対応整備会議」が開かれ武漢の肺炎についての対策が議論されました。その結果、医師の診察時のN95マスク装着の徹底、入国検疫の再強化と帰国後10日間の経過観察、旅行経歴の告知の徹底などが決議され、即日実行に移されました。

 また1月5日には、「中国原因不明肺炎 疫病情報専門家諮問会議」が日本の厚生労働大臣に相当する衛生福利部長の召集で開催され、経過観察を10日から14日に延長することなどが議論されました。そして翌6日には、台湾行政院(内閣)が中国での正確な情報を把握するための調査体制強化を指示。翌7日には武漢地区の危険レベルを早々とレベル1「注意/Watch(一般的予防措置の遵守)」と設定しています。
 一方上述の通り日本の厚生労働省が最初の注意喚起を行ったのは1月6日のことでした。初動の差は明らかといえます。

フェイク情報には即座に対処し罰則の適用も辞さない

 1月11日、SNS上で「台湾ですでに武漢コロナウイルスに感染した症例が見つかった」というデマ情報が流れました。このデマ情報に対して台湾政府は即座に当該情報が虚偽であることを発表。同時にウソ情報、虚偽報告などのデマを流した者は「社会秩序維持保護法」あるいは「伝染病予防治療法」で罰せられると警告しました。
 昨日日本でもトイレットペーパーが不足するなどのデマ情報がSNS上で流れた結果、スーパーやドラッグクストア等でマスクに次いで売り切れ状態が続いていますが、
 日本政府もこのようなデマ情報に対して何らかのアクションをとってほしいものですね。ちなみに日本の場合デマ情報流出の場合罰則を科せられることはあるのか調べてみたのですが、日本の刑法はフェイクニュースの拡散については表現内容の規制であることに配慮し、処罰の対象は特定人(法人含む)の利益を害した場合に限定しているようです。つまり、フェイクニュースを発信したことにより処罰されることは基本的にはないといえます。しかしながら政府にも注意喚起くらいはしてほしいものですね。

リスクの可能性があれば即座に動く

 WHOが新型コロナウイルスに対して「持続的なヒトからヒトへの感染の明らかな証拠はない」と声明を出す中で台湾は独自に情報を収集し、「ヒトからヒトへの感染は排除できない」とし武漢地区への危険レベルをレベル2の「警示/Alert」(防護措置の強化)までひき上げました。
 またいまだ台湾国内において新型コロナウイルス感染者がゼロの状況においても非常対策本部を立ち上げるなどリスクの可能性には国を挙げて全力で取り組む姿勢を鮮明化しました。

自国民のために素早いマスクの輸出制限政策

 台湾国内でもマスク不足が深刻になり始めた直後、中央伝染病指揮センターが、行政院および経済部と協力して大きな政策を実行した。それがマスクの輸出制限だ。この政策実施に対しては「非人道的」「自分勝手」という非難の声も上がったようですが、政府の本来の役割は自国民の保護であるべきであり台湾政府として極めて正しい選択と言えるのではないでしょうか?

迅速な台湾の対応。しかし神対応とまで呼べるものか?

 ここまで読んで確かに日本の要請とは違い迅速な対応だということには全く異論はありません。政策決定をスピーディにこなし実践し政府として本当によく機能していると思います。しかしこれらの対応を神対応としている記事には上述の通り違和感を覚えました。

 記事によると「これらの対応が功を奏して、台湾国内では2月28日時点で感染者数が34人に抑えられている」とつづられていました。しかし台湾の全国民数は調べたところ約2300万人です。

 一方で日本の国民数は約1億3千万人と台湾の約5倍です。そして日本の感染者数は同じく28日時点で210人(クルーズ船陽性反応者は除く)。

 単純計算すると割合的に台湾と日本の各々の総人口に対する感染者数はあまり大差がないのです。

 台湾の対応を日本と比べて絶賛するよりも、日本より格段に対応が速かった台湾をもってしても日本と同程度の状態に陥っていると報道すべきではないのか違和感を覚えずにはいられませんでした。もっとも実質的な被害は変わりないとはいえ台湾の行政の迅速性は学ぶべきとは思いましたが・・・

 以上、コロナウイルスに対する台湾政府の対策を神対応とする記事について徒然まとめました。