私は国土交通省の出先機関である運輸局に勤務する現役国家公務員です。

本ブログでは、私自身が行った公益通報制度に基づく内部告発事例を紹介しています。

さて、これまで複数回公益通報制度を利用してきて痛感したことがあります。

それはこの制度の最大の問題点が公益通報の結果に対して異議申し立てができずひとたび回答がなされてしまえばその回答がどのような内容であっても事実上そのまま通ってしまうことです。

以下、実際の事例を交えながら紹介していきます。

私の自動車登録に関する実際の公益通報事例

私が公益通報制度の最大の問題点は異議申し立てができないことであると痛感した事例を紹介

します。

運輸局の自動車登録部門では、会社法が関係する案件を取り扱うことがあります。

その中には、本来であれば登録処理の前提として十分な確認が必要と思われる議事録が添付されているケースが存在します。

その代表例が以下の株主総会議事録や取締役会議事録です。

・有限会社の登録申請に取締役会議事録(有限会社には取締役会を設置できない)が添付されているケース

・議事に参加できないはずの利害関係を有する取締役のみが参加している取締役会議事録(取締役会では利害関係を有する取締役は議決に参加できず、それ以外の取締役によって議事運営を行う必要がある)が添付されているケース

このような議事録をもって登録処理することは自動車登録の要件を満たしていないため登録をしてはいけません

そして万一そのような議事録をもって登録がなされた場合は登録の抹消という登録の取り消し処理が必要となります

しかしながら運輸局ではこれらの会社法上の要件を満たしていない議事録をもっての登録が平然と行われているため公益通報を行ったのでした。

国土交通省公益通報担当部署 自動車情報課の回答紹介

では、私の公益通報に対する担当部署である自動車情報課からの回答を紹介します。

(回答原文引用)

1.「公益通報1」記載の通報対象事実について

国土交通省公益通報等窓口 「公益通報1」記載の通報対象事実(以下「通報対象事実1」という。) は、運輸監理部長又は各運輸支局長(以下「運輸監理部長等」という。) が、株式会社・取締役間における自動車の譲渡取引であって、会社法上、取締役会決議又は株主総会決議を必要とする利益相反取引(以下、単に「利益相反取引」という。) を登録原因とする移転登録申請のうち、利益相反取引の法的有効性(有効な取締役会決議の存在等)が確認されていないものについて、これを受理している行為(以下「通報対象受理行為」という。) が、運輸監理部長等が申請を受理してはならない場合を規定する自動車登録令第21条第1項第2号(登録の申請した事項が登録をすべきものではないとき)に違反する旨を指摘するものと解されます。

この点、道路運送車両法、自動車抵当法又は両法に基づき制定された自動車登録令上、運
輸監理部長等に対し、利益相反取引について、その法的有効性に関する実体法上の審査を行う義務を課している規定は見当たらない以上、通報対象受理行為は、自動車登録令第21条第1 項第2号違反を構成しないものと考えられます。

よって、通報対象事実1については、不受理とさせていただきます。

2.「公益通報2」記載の通報対象事実について

「公益通報2」記載の通報対象事実(以下「通報対象事実2」という。)は、利益相反取引を登録原因とする自動車の移転登録のうち、有効な取締役会決議等が存しないもの(以下「通報対象移転登録」という。)について、運輸監理部長等が、自動車登録令第29条に規定する登録の抹消手続(以下、単に「登録抹消手続」という。) を行わないことが、同条に違反する旨を指摘するものと解されます。

この点、通報対象移転登録の法的有効性に関し、利益相反取引の当事者であり、かつ、
の無効を主張し得る関係者からの無効主張はされていない以上、運輸監理部長等には通報対象移転登録に係る登録抹消手続の実施義務は発生しておらず、
したがって、当該手続の不実施は自動車登録令第29条違反を構成しないものと考えられます。

よって、通報対象事実2についても、不受理とさせていただきます。

国土交通省公益通報担当部署 自動車情報課の回答要旨

では、この回答の要旨を簡単にまとめます。

国交省側の回答は、概ね次のようなものです。

国交省は議事録の有効性について実体法上の審査権限を有していない。そのため、会社法上問題があると思われる議事録を添付して登録が行われたとしても、自動車登録令第21条第1項第2号違反にはならない。

登録抹消は無効を主張し得る関係者からの主張がなければ行う必要はなく、国交省には登録抹消義務は発生しない。

「国家公務員の公益通報 一番の問題!それは異議申し立てができないこと」まとめ

さて、この自動車情報課からの回答ですが完全に誤った回答です

国交省の内部資料には、議事録について会社法上の要件を満たしているかどうかを確認する形式的審査権限がある旨の記載があります。

⇒にもかかわらず、「会社法上問題のある議事録であっても登録処理できる」とする回答は、内部資料の内容と整合していないように思われます。

・回答では自動車登録令第21条第1項第2号との関係で説明されています。

⇒しかし私が登録令に反していると主張している具体的な条文は同条同項の第1号です。このことから国交省は私の公益通報内容が法的にどこが問題なのか把握していないことがよくわかります

・回答では登録抹消は関係者からの申出がなければ行われないという前提で説明されています。

⇒しかし、自動車登録令には職権による登録抹消に関する規定も存在します。

ところがこれらについて反論しようにも、公益通報の結果に対して実質的な異議申し立てを行う制度は存在しないとして取り合ってもらえないのです!

実際公益通報窓口に即座に反論をしましたが無反応・・・1年経過しますがまったく動きはありません

このようにどんな誤った回答であろうが一度回答してしまえば逃げ切りができてしまう・・・それが公益通報制度の最大の問題点なのです