大相撲の元横綱貴乃花さんの所有するハーレーダビッドソンのバイクを息子の花田優一さんが無断で売却したのではないかということが大きく報道され世間を騒がせています。

 この点貴乃花さんと優一さんの主張は真っ向から食い違いを見せているわけですが少なくとも問題のハーレーの持ち主として名義人となっていた貴乃花さんからすれば「息子によってハーレーを勝手に転売された」という主張をされているようです。

 さてこのブログで度々お話していることで恐縮ですが私は国家公務員として車検場で働いていた元職員です。
 中でも主な仕事は自動車や今回のハーレーなどのバイクの名義変更手続きでした。

 そこで当時の経験を活かし今回は「貴乃花のハーレーを息子優一氏が無断で名義変更は可能?」についてまとめていきたいと思います。




➀貴乃花のハーレーを息子優一氏が無断で売却?名義変更は可能?

 さて今回の貴乃花さんのハーレー無断売却問題。
 ネット記事を読む限り購入者への名義変更手続きも完了しているようです。

 そしてこれをうけての貴乃花さんのコメントで大変興味深いコメントがありました。
 それは以下のコメントです。

「家族とはいえ、人の所有物を本人の許可なく売るなんて、考えられません。しかも、名義登録のあるバイクを本人の委任状もなく、どうやって売却したのでしょうか

 このコメントを読む限りバイクの売却に関与していないのはもちろん委任状などの名義変更手続きに必要となることが考えられる書類すら貴乃花さんは発行していないことがわかりますね。

 では貴乃花さんが疑問に思うように本人の委任状などの書類がない状態でバイクの名義変更手続きは可能なのでしょうか?

貴乃花さんバイクが息子さんに無断売却問題に学ぶバイク名義変更必要書類

 ではここでバイクの名義変更手続きにどんな書類が必要なのか?

 ざっとまとめていきたいと思います。

(バイクの名義変更手続き必要書類)

・➀譲渡証明書

・➁車検証

・⓷バイクの新たな使用者となる人の住民票(新たな使用者が法人の場合は謄本など)

・⓸ナンバープレート(※ただしナンバー変更を伴う場合に限る)

・・・たったこれだけなんです(笑)
貴乃花さんは委任状を発行した覚えはないとお話されているようですがそんなものそもそも必要ではないのです。

しかもこの4つのうち貴乃花さんが発行しなくてはいけない書類は➀の譲渡証明書のみです。

 この譲渡証明書という書類。

 バイクの場合色々と問題があるのです。

貴乃花さんバイクが息子さんに無断売却問題に学ぶバイクの譲渡証明書

 譲渡証明書というのはバイクの所有者がバイクを売却した際に発行する書類で「バイクの所有権を私から購入者の方へ譲渡しますよ」という証明書のようなものです。

 一応証明書なので譲渡証明書を発行する現所有者の押印の欄があるのですが・・・バイクの場合なんと認印でも大丈夫なのです(笑)

 ・・・すなわち今回の場合貴乃花さんの苗字である「花田」という印が押印欄に押印されているものであれば本人が発行した有効な書類として車検場での名義変更手続きが可能になってしまうのです。

 いかにバイクの名義変更制度がザルであるかお分かりいただけるのではないでしょうか?

 そして以前別記事でまとまたのですが今年から車検場では河野行革担当大臣の名による諸手続きに押印廃止が盛り込まれた大改革が行われたのですが・・・今は譲渡証明書の押印欄にすら印鑑の押印は不要と言う扱いになっているのです。

 本当にバイクに関しては無法地帯と化していますね(笑)

「貴乃花のハーレーを息子優一氏が無断で名義変更は可能?」まとめ

 以上「貴乃花のハーレーを息子優一氏が無断で名義変更は可能?」まとめでした。

 自動車は登録制と言って国家が登録を受けた所有者の所有物であることを公証する制度をとっているのに対しバイクは登録制度の対象外。
 一応売買した場合は名義変更するように法制度上はなっているのですが全く意味のない制度なんですよね。

 現役車検場職員時代から「これ何の意味があるんだ?」と最後までその意義に疑念を持っていたものです。

 さてこのザルな制度の盲点を突く形で無断で愛車ハーレーを見知らぬ他人に名義変更されてしまった貴乃花さん。
 今後新たな進展はあるのか?
 そしてまさかの車検場への攻撃はあるのか?

 元職員として目が離せない展開が続きそうです。