賭けマージャンを行っていたことを認めた黒川検事長が人事院指針より軽い訓告処分をうけ、退職金を満額を受け取る形で辞職することになったニュースが大きな話題となっておりヤフコメなどには「処分が甘すぎる」「退職金支給などありえない。懲戒免職が妥当」といった意見が非常に多くみられます。
そして同時にこの訓告処分というものがはたしてどういった処分なのかということが大きく関心を集めているようです。
実は私も公務員時代非常に失礼な態度をとる非常勤職員とトラブルに発展しバトルに発展した結果、この訓告処分を受けたことがあります。
(正直いまだに何故私だけ訓告処分を受け相手方には何もないのか納得入っていないわけですが・・・)
私がネットを見る限りですと、訓告につき「懲戒処分じゃないから形式的なものにすぎない」「訓告は軽い処分。処分というのがおこがましい」などとという意見が多くみられました。
確かに今回の黒川氏の退職金についての報道を見ると満額支給されたとの報道がありましたので、少なくとも訓告を受けても退職金には影響はなさそうです。
しかし懲戒処分でないといっても勤勉手当(ボーナス)や昇給には影響があり決してネット上で噂されるほど軽微なものではありません。(少なくとも多少の影響はある。)
そこで実際に訓告処分を受けたことがある経験者として今日はこの訓告につき書いてみたいと思います。
目次
訓告は懲戒処分ではない!
公務員が不祥事を起こした場合ニュースでもよく懲戒処分という言葉を耳にしますよね。
この懲戒処分というのは一言でいうと法律上の処分、すなわち国家公務員法に基づいて科される処分で大まかに4種類存在します。
・免職 – 職員の意に反してその職を失わせる処分をいう。
・停職 – 一定期間、職務に従事させない処分をいう。国家公務員の場合は最低1日、最高1年までとなっている。
・減給 – 職員に対する制裁として一定期間、職員の給与の一定割合を減額して支給する処分をいう。国家公務員の場合は人事院規則で、
期間は最高で1年、額は俸給の20パーセント以内と定められている。
・戒告(譴責:けんせき) – 職員の非違行為の責任を確認し、その将来を戒める処分をいう。
履歴書を記載する際に賞罰欄ってありますよね。これらの懲戒処分を受けるとこの賞罰欄に記載する必要があり転職の際に不利になります。
一方今回の訓告ですが・・・上記の懲戒処分の中には名前がありませんよね。
公務員が不祥事を起こした場合で懲戒処分を科すには至らないものの何かしか戒める必要があるとされる際に、内規などを根拠に課される軽微な処分があります。
それが重いとされるものから順に訓告、厳重注意、口頭注意です。
このように訓告と言うのは懲戒処分ではないものの、内規などを根拠に課される軽微な処分の中においては一番重い処分であるといえるのです。
では次にこの訓告を受けるとどのような悪影響があるのかについてみていきましょう。
訓告を受けるとボーナスの際の勤勉手当が減額
今回の黒川検事長に関するニュースを見ると退職金は満額支給されたとあるので、少なくとも訓告は退職金には影響はなさそうです。
しかし金銭面で悪影響を与えることがあります。
訓告を受けた日を包括する期間に対して支給されたボーナスが、後輩よりも少し額が下でした。
どうやら勤勉手当が訓告を受けたことにより何割かカットされたことが原因であることがわかりました。
訓告を受けると昇給にも影響
また訓告は昇給にも影響を与えます。国家公務員は(少なくとも私が所属していた運輸局は)毎年1月に昇給があります。
国家公務員の給与は号俸という単位により支給額が決定されるのですが、成績優秀者だと6号俸、通常だと4号俸昇給します。
私の場合仕事自体はできたためほぼほぼ毎回成績優秀者の6号俸アップというかたちだったのですが、
2年前の12月に訓告を受け翌1月の昇給は、6号俸上昇すると聞かされていたところ通常の4号俸でした。
それだけでもイラっとしたのですが、その翌年の昇給は2号俸でした。
昇給の際には辞令が交付されるのですが、「2号俸昇給する」という不愉快な文言の下に「人事院規則○○条による」と条文が記載されていました。
その条文を調べてみると訓告を受けたことが原因で2号俸のみの昇給となったことがわかりました。
最悪の場合は更なる左遷人事も
さて、一般に公務員の不祥事と言うと懲戒処分と僻地への左遷人事を想像される方が多いのではないでしょうか?
公務員の給与の一部に地域手当というものがあります。
これは勤務地によって号俸の何パーセント支給するかが決められていて多いところで20パーセント。少ないところは0パーセントです。この地域手当が発生しないところに異動させられた場合、1年目と2年目までは異動前の地域手当に基づいて支給されるため地域手当が発生します。そして3年目に入った段階で異動先の地域手当により手当の計算を行うことになり地域手当が0円となってしまうためほとんどの職員は最大2年で異動するのが通常です。
私の知り合いで利害関係人と会食を共にし情報を漏洩した疑いで厳重注意を受けた職員がいましたが、
その職員は自宅から地域手当が0%の片道3時間以上の遠隔地に異動させられたうえ、3年配属されていました。
(地域手当なしのほうが訓告よりも金銭的にはるかにキツイ・・・)
もっとも今はK県のS南事務所の車検場事務所の所長についていますが・・・
ちなみに私の場合は左遷人事にのような僻地への異動はなく、嫌がらせ人事はありませんでした。
訓告まとめ
以上、実際訓告を受けた人間として今話題の訓告処分についてまとめてみました。
ネットなどでは「訓告なんて役所内の自己満足」というような意見もありますが、それなりには影響はあります。
しかし、私が受けるくらいならば以前このブログ内で記事にした無断遅刻をする輩や勤務時間中に平然と昼寝をする輩、通勤手当を不正着手する輩が何故何も処分を受けることなくのうのうと血税から給与を受け取り、当たり前のように昇給を重ねていくのか怒りが収まりません。
然るべき人間に対して目も向けず組織に対して邪魔な人間だけに処分を科す。本当に運輸局というのはクソな組織だとこの記事を書いていて改めて憤りを感じました。