将棋王位戦7番勝負の第1局で藤井聡太七段(17)が木村一基王位(47)を破りタイトル獲得へ前進しました。
渡辺明棋聖(36)に挑戦している棋聖戦5番勝負でも2連勝しタイトル獲得へ王手をかけている藤井さん。
これからもまだまだ快進撃は続いていくのでしょうか?
今後の活躍ぶりにますます目が離せない日々が続きそうです。
さて冒頭の木村一基王位との王位戦ですが第1局の1日目で藤井七段が1手に対して1時間半にも及ぶ長考をする場面が何度かあったことが大きくニュースで取り上げられていました。
私のような凡人には1手に1時間半もかけるなんてとてもマネできないわけですが、はたして将棋の世界の1っ手の最長時間はどれくらいなのでしょうか?
気になったので調べてみました。
目次
将棋の一手最長時間は5時間24分
2005年9月の順位戦B級1組での青野照市九段と堀口一史座七段の1局で堀口一史座七段が記録した5時間24分が将棋の一手最長時間とされています。
ちなみにこの勝負は大長考を記録した堀口七段が勝利したのですが、約5時間半にもわたり一手を考えた理由は「先の先まで読んであらゆる手を考えたが何をどうやっても一手自分が負けてしまい中々いい一手が思いつかなかった」そうです。
➁ちなみに囲碁の世界では・・・
さてでは将棋と並ぶ頭脳ゲーム囲碁の世界の一手最長時間を見ていきましょう。
なんと囲碁では将棋の最長時間5時間24分を大幅に上回る一手16時間という記録が残っています。
なんでもこの当時は勢い著しい若手との対戦のさいに体力勝負に持ち込むために長考を悪用し対戦相手を疲弊させるという駆け引きが行われていたそうです。
たださすがにこの16時間という記録はやりすぎというふうにみなされたのかは定かではありませんが、以降持ち時間制の導入につながったとされています。
ちなみに囲碁の世界では長考派同士の騎士が対戦した際に1日に9手しか進まなかったという珍記録も誕生しています。
長考に好手なし!
さてではこのように一手に熟慮に熟慮を重ね長時間かけるやり方はどのように解されているのか?
このてんにつき「長考に好手なし!」として将棋界の大スター羽生善治さんが自著のなかで「対局はロジカルに考える➀読みと局面の急所で直感的に➁大局観を駆使する」とお話をされています。
この➁の対局観については羽生さんが10代の時に対戦した当時60代の大山康晴十五世名人との対局経験が大きな影響を与えたようです。
当時の大山名人が羽生さんとの対局局面で放った一手が熟慮したものと言うよりは直感的に放った一手であったにもかかわらず結果としてそれがものすごくよい一手で、優れた大局観さえあれば熟慮しなくても正解を導き出せるということを学ばれたそうです。
この「大事な場面では熟慮を重ねればいいものではない。局面に応じて感覚的に選択肢を絞り込む」というのは将棋以外にもあてはまりそうでとても深いですよね。
というわけで今日は藤井聡太七段の王位戦第1局勝利のニュースから将棋の一手における最長時間についてまとめました。